住宅火災での死者と住警器について

2023年2月6日

火災報道と死者数

最近、毎日のように住宅火災と火災による死亡がニュース報道されます。

いままで、あまり気にしたこともなかったのですが、冬場に入り寒さが増す中で住宅火災と火災による死亡報道が特に多くなり心が痛みます。

住宅用火災警報器(以下:住警器)の設置は義務化されているはずなのに、
設置してなかったのか? 
役に立たなかったのか?
疑問を感じています。

そこで住宅火災による死者数が、実際にはどのような状況なのかを消防白書のデーターを元に調べ住警器の設置・稼働状況との関連を調べてみました。

消防白書
消防庁が、毎年1月の下旬に前年の火災発生状況や消防防災活動についてのデーターを整理し公表しています。
令和5年においては、1月 23 日に令和4年版消防白書が公表されました。

住宅火災による死者数の状況

令和に入ってからの消防白書を確認すると、消防庁による住宅火災による死者の状況分析は、以下の通りで、
住警器設置義務化以来順調に減少していた死者数が令和3年を境に横ばいへと変化しています。

消防白書記載内容。
令和元年:前年比おおむね減少傾向。
令和2年:前年比おおむね減少傾向。
令和3年:前年比横ばい。
令和4年:前年比横ばい。
(令和4年に関していえば、899=>966人となっているので横ばいと表現しがたい状況です。)
令和4年消防白書火災件数

出典:令和4年版消防白書(消防庁)(https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r4/items/r4_all.pdf

住宅用火災警報器と住宅火災死者数の関係

平成30年(2019年)の消防白書では「住宅用火災警報器の普及とともに住宅火災の死者数は減少傾向」と記載されているが、令和元年(2019年)の消防白書では消えています。

これは、住宅用火災警報器の普及による住宅火災の死者数の減少傾向の歯止めにブレーキがかかったことを意味しているのでしょうか?

住宅用火災警報器の設置率

火災警報器の設置率は向上しているが、市町村条例適合率は減少している。

住宅用火災警報器の全国 設置率/条例適合率
平成30年 全国 81.6%/66.5%
令和元年 全国 82.3%/67.9%
令和2年 全国 82.6%/68.3%
令和3年 全国 83.1%/68.0%
令和4年 全国 84.0%/67.4%

条例適合率:
市町村の火災予防条例【※】で設置が義務付けられている住宅の部分の全てに設置されている世帯(自動火災報知設備の設置により住宅用火災警報器の設置が免除される世帯を含む。)
の全世帯に占める割合。
※】地方における住宅用火災警報器の設置は、地方の実情に合わせて市町村火災予防条例により規定されています。

条例適合率減少の意味合い

条例適合率が減少しているということは、市町村条例に基ずいて決められた箇所への設置が出来ている世帯割合が減少していることを示しています。

有効な設置個所を見つける必要

地方の住環境に合わせた取り付けができていないことが、住宅火災の死者数の下げ止まりに影響を与えている可能性は否めません。

自分の身を守るためにも、まずはお住いの地域の市町村の火災予防条例を確認し必要な箇所に必要な個数を設置することをお勧めします。